歯周病は、日本で歯を失う原因第一位の歯科疾患です(2018年8020推進財団が行った全国調査/永久歯の抜歯原因調査報告書)。細菌がきっかけとなり、歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる骨が溶けていく歯周病は、自覚症状が出る頃には重度にまで進行している事が多く、治療が難航してしまうケースが多くあります。
はだの歯科では、そのような既に歯周病を発症してしまった方から、症状はないが健診をしてほしいという方まで、幅広く診療を受け付けております。歯周病は初期段階であれば治療期間が短く、患者様の負担も少なくなります。歯周病のことで少しでも気になる方は、お気軽にご連絡ください。
当院の歯周病治療の流れ
歯ぐきの検査、レントゲン検査
現在の歯周ポケットの深さを測り、レントゲン撮影で歯を支える周囲の骨(歯槽骨)などのチェックを行います。
状況の確認
歯石除去・歯磨き指導
歯磨き指導
一番の治療法・予防方法は、患者様による毎日の正しいセルフケアです。たとえ1週間おきに歯科医院で歯石を取ったとしても、毎日歯磨きができていなければ意味を成しません。「ここの歯がうまく磨けない」「歯間ブラシの大きさはどれを選べばいいか」そのような疑問がありましたら、遠慮なくご質問ください。
再度検査
SRP
SRP(歯石除去)
歯科への関心が高まりつつある近年では、「歯周ポケット」という言葉をご存知の方も多いのではないでしょうか?実はこの歯周ポケット、歯周病菌の主な住処なのです。歯ブラシでは届かない歯周ポケットの中は、細菌にとっては増殖しやすい快適な環境です。
SRPでは、この歯周ポケット中に停滞している細菌の塊や歯石などを、専用の器具で排除していきます。初期の方はご自宅での正しいブラッシングと、このSRPで症状の改善が見込めます。
検査
SRPや外科治療
歯周病によって失った歯を支えている土台の骨(歯槽骨)は、そのまま放置していても再び元の状態に戻ることはありません。そのため、歯周病が重度まで進行し、骨の喪失量が多い場合、外科治療にて「骨再生」という処置を行う事があります。骨再生とは、歯ぐきを一時的に剥離し、歯槽骨に直接薬剤などの塗布を行う事で、失った骨を再生させる治療法です。局所麻酔を行いますので、施術中のお痛みはありません。
リグロス(保険適応)
「リグロス」は、欠損部分の骨を再生する働きをもつ細胞の増殖を、促進させる効果がある薬剤です。歯槽骨だけでなく、セメント質、歯根膜という周囲組織の再生までも促進させるため、歯との結合性も高く、予後がいいという事が特徴です。
また、長年の調査により、リグロスを使用した際の長期の有効性、安全性も実証されておりますので、安心して治療を受けていただく事ができます。
GRF(自費)
「GRF(グロスファクターリッチフィルム)」は、患者様から採取した血液を加工・使用して、骨再生を行う治療です。歯槽骨や周囲組織の再生細胞を促進させることで、歯槽骨及び周りの組織を再生することを目的とした治療となります。ご本人の血液から作られるため、アレルギーや感染のリスクが低い事、治癒力が高い事が特徴です。
※GRF治療の際は採血が必要になります。
エムドゲイン(自費)
「エムドゲイン」は、豚の歯胚から作られた薬剤です。世界中で広く使用されており、効果もリグロス同様に骨再生が期待されますが、保険適用が認められていないため、当院での骨再生治療時の薬剤は、リグロスがメインとなっております。
その他、当院で行う治療や検査
咬合力(咬む力)のコントロール
当院では、咬合力にも考慮した歯周病治療を行っております。歯を失う原因は、細菌だけの問題ではありません。様々なリスクファクターを分析し、細菌や咬合力など、内部と外部の双方からのアプローチ行うことで、より効果的で安定した歯周病治療をすることができます。
歯周病DNA検査
歯周病DNA検査では、唾液を採取して分析する事で、「存在している歯周病菌の種類」「どの菌がどのくらい存在しているか」等の事が分かります。お口の中にいる細菌は、数百種類以上とも言われています。それらの細菌の中には、「レッドコンプレックス」と呼ばれる、歯周病菌の中でも特に悪い3つの細菌が存在している事も少なくありません。
歯周病は、細菌の種類や割合によって、有効なアプローチ方法やリスク管理などが異なります。このことから、歯周病DNA検査によって、患者様一人一人に適した治療計画の立案と、効率のよい歯周病治療が可能になります。
歯周病の症状
歯周病は進行すればするほど、症状が顕著に出てきます。定期的な健診を受ける事が理想的ですが、そうでない方は症状が出たらできるだけ早く、歯科医院への受診をおすすめしております。
歯が浮いた感じがする・歯が揺れる
歯周病菌が溶かす歯槽骨は、歯を支えている大事な土台です。その土台が溶かされることにより、歯が揺れてしまう、といった症状が出ることがあります。初期であれば、「歯が浮いたような違和感」を覚える方もいらっしゃいます。
歯ぐきが腫れる・出血がある
初期〜重度、どの段階でもみられる症状です。「普通の力で歯ブラシを当てているだけなのに出血が多い」という場合には、上記の理由によって歯ぐきが炎症している場合があります。ただし、喫煙されている方に関しては、喫煙によって血流が悪くなっている事で、腫れや出血が現れないまま歯周病が進行してしまう可能性もあります。
歯ぐきが下がる
歯を支えている歯槽骨は、溶け始めると歯の根っこの方へと下がっていきます。歯槽骨に付着している歯ぐきは、骨が溶けると必然的に下へと付いて行ってしまうのです。しかし、歯周病ではなく、加齢や歯ブラシの力が原因で歯ぐき下がってしまう、という方もいらっしゃいますので、ご心配な方は一度ご相談ください。
口臭がひどくなる
歯周病は進行すると、寝起きや口が乾いたときの生理的な口臭とは別の、独特の臭気を発します。これは、歯周病菌が血液や膿を食べて、臭気を発生させるため起こるものです。全ての口臭が歯周病である、ということではありませんが、「以前にはない口臭の症状が出始めた」という方は、要注意です。
このような症状が出ているからと言って、必ずしも歯周病であるとは限りません。しかし、「症状が出始めてから受診する」と考え方は、重症化のリスクがとても高くなります。歯周病を発病した状態はマイナスからのスタートです。治療後にはそのマイナスがゼロになります。当院ではこのゼロを維持することが、最も重要だと考えております。歯周病治療が終わった方は、是非定期的な健診をお願い致します。
歯周病による病気のリスク
歯周病が進行すると、脳梗塞、肺炎、心臓疾患、膵臓がん等の内臓疾患、糖尿病、早産、アルツハイマー、肥満、口臭等のリスクが著しく高まります。
歯周病菌は、血管に入り込み血栓を形成しやすくして、中枢系や循環系の血管がつまりやすくなるといわれます。また妊婦の方で歯周病を患っている方は低体重児や早産のリスクが上がるといわれています。
さらに歯周病の悪化と糖尿病の悪化は相関関係があるといわれています。従って歯周病を改善すると糖尿病も改善するといわれています。そしてアルツハイマーの原因にも歯周病が関与しているといわれています。